先日メディア関係のお客様に取材を頂いている中でこのようなご質問をいただきました。
「生ウニがあれば、汐うにはいらないのではないでしょうか?」
話の流れから純粋な好奇心からいただいたご質問でもありましたので少し考え、お答えさせていただきました。
まず、御質問いただいた先方様の背景としまして、越前仕立て汐うにという品に触れるのは初めてのことでした。
これまで「ウニ」といえば生ウニを食べてこられていて、大変品質の良い生ウニを召し上がられたこともあり、鮮度の良い状態の美味しいウニに塩を振ってわざわざ加工品にする理由を聞かれているものでした。
そこで以下のように代々、汐うにを扱う天たつの11代目としての想いを語らせていただきました。
「天たつでは200年以上前から越前福井で商売をさせていただいております。
その過程で、ときの福井藩主松平治好様の命により、日本三大珍味の一つとも言われる越前仕立て汐うにを天たつ3代目天野五兵衛が開発し、福井の漁師、海女さんたちに製法を伝え、以来200年間福井の食文化として根付き食べられてきました。
もちろん好きずきはあるかと思いますが、汐うにに仕上げますと生ウニとは旨味も香りもまったく別物に変わります。
食べ方もそうです。
生うにの場合、ご飯にどさっと載せてウニ丼として食べたりしますが、汐うにの場合はちびちびと摘まみながらお酒をお召し上がりいただいたり、ご飯にのせるにしても小指の先ほどを載せ、箸で伸ばしながらお召し上がりいただいたり、と使い方も違います。
一つの食材から無限の魅力を見つけ出すことが日本人が昔から持っている素晴らしさであり、この多様性こそが食の魅力なのだと思います。
そして、なによりこの汐うにのストーリーをとおして、福井の歴史や魅力を伝えることができます。
これは何百年も福井で食べられている汐うにでしかなし得ない魅力です。」
この説明でお客様にはご満足をいただくことができましたが、私自身まだまだモノの魅力を伝えることができきれていないと反省する部分でもありました。
今後益々精進し、日本福井の食である越前仕立て汐うにをたくさんの方にお伝えし、もっともっと喜んでいただける食にしていきたいと強く思います。
春の日本海はたくさんの海藻が生い茂ります。
香り良く、とても美味しいワカメの季節の到来です!
ちょうど今、養殖わかめが美味しい時期のため、天たつでは養殖板わかめの販売を数量限定で開始いたしました。
天然わかめと養殖わかめの違いは食感に有ります。
養殖ワカメは湾内の波の穏やかな海で育てますので葉が薄く育ちます。
それに対して天然わかめは自然の波に揉まれながら育つため、葉が厚く育ちます。
板わかめにした場合、パリパリと口の中で解けていく感覚は養殖ワカメのほうが秀逸です。口の中でとけてなくなる感覚と申しますか、ワカメの爽やかな磯の香りと潮の旨味がバランス良く、ご飯にフリカケますとドンドン箸が進みます。
養殖ワカメは3月後半から4月中頃までが刈り入れの最盛期になり、ちょうど今が旬のワカメ。
対しまして、天然わかめは葉の厚みに比例して味わいも濃く、ワカメらしい旨味がより深いのが特徴。噛みしめるごとにワカメの持つ自然な旨味が染み出します。
ただ養殖わかめで作った板わかめに比べますと、厚みがあるぶん少し硬く感じられるかもしれません。
天然ワカメは4月後半から5月中盤ころが刈り入れの最盛期と成るため、5月に入ってからが美味しいワカメとなります。
作っている海は同じ日本海の海になりますので、どちらも自然の海の旨味と香りをたっぷりともった春の海の恵み。
まずは養殖板わかめを、そして時期が来ましたら天然板わかめをお買い求めいただき、味くらべなどされながら春の食卓をお楽しみいただけたら嬉しく思います。
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天たつ 若女将天野雅代です
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